平成28年度 入学式 学校長式辞

本日、東京都立白鴎高等学校及び東京都立白鴎高等学校附属中学校、平成28年度、入学式にあたり、ご多忙にもかかわらず多数のご来賓の方々、保護者の皆様のご臨席を賜りましたことを、まずはじめに高いところからではございますが、厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。

ただ今、中学校160名、高等学校235名の皆さんの入学を許可いたしました。
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。本校の桜も皆さんを待って散り急がずにいてくれました。まず、高等学校から新たに白鴎の一員となった皆さん、白鴎へようこそ。附属中学校の新入生の皆さんは、大変厳しい入試を勝ち抜いて、今日ここにいることを皆さん自身うれしくまた誇らしく思っていることでしょう。合格を喜んだその時の気持ちを忘れず、新しい中学校生活をスタートさせてください。そして、中高一貫教育校の中でも併設型である本校は、高等学校から新たに入学する生徒の皆さんが、清新で活気あふれる新しい風を学校に吹き込んでくれることを願っています。附属中学校から進学した皆さんは、義務教育を終え、通う校舎は同じでも、一段階段を上るように、成長し新たな心持でいることと思います。今のフレッシュな気持ちを失うことなく、高入生と共にますます学業に行事に部活動等に励んでほしいと思います。

私たち教職員一同は、皆さんの入学を本当に心待ちにしていました。数多くの学校の中から本校を選んでくださったことをうれしく、またありがたく思い、その期待に応える責任の重さを痛感しています。私は、教師として、常に胸に刻んできた言葉があります。それは教育学者ウィリアム・アーサー・ワードの次のような言葉です。「凡庸な教師はただしゃべる。少しましな教師は理解させようと説明する。優れた教師は自らやって見せる。本当に優れた教師は心に火をつける」この「心に火をつける」英語ではinspireと言っていますが、私たちは、皆さんの「心に火をつける」存在になれるよう、たゆまぬ努力をしたいと思っています。

さて、中高を通して、新入生の皆さんに私がお願いしたいことが一つあります。それは「未知なるものを面白いと思う」ということです。自分が知らないこと、経験したことがないことに対して、人はどちらかというと、怖い、とか、嫌だ、という感情を抱きがちです。そしてこの世界で起きているさまざまの困難な課題の多くは、たとえば知らない外見、知らない宗教、知らない習慣や価値観、といった未知なるものに対する恐怖心や嫌悪感が要因ではないかと私は思っています。しかし、知らないことを知りたい、と思ったり、未知の世界に興味を惹かれたりすることこそ、学びの原点です。知らないからこそ面白いしもっと知りたい、こうした気持ちが、皆さんが学習を進めていく力になるはずです。ぜひ「知らないものを面白いと思う気持ちを自分の中で育ててください。

現在、新しい学びの形として「アクティブ・ラーニング」の重要性が言われています。アクティブ、というと何か「活動的」というイメージをもつ方もいらっしゃるかもしれませんが、アクティブとはパッシブ(受動的)の対義語としての「能動的」、受け身ではなく自ら主体的に学ぶという意味です。「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習」がアクティブ・ラーニングであり、そのような学習に、白鴎では既にずっと以前から取り組んでいます。本校の教育理念である「開拓精神」とはまさにアクティブ・ラーニングによって培われるものです。

本校は、120年を超える伝統に支えられ、また都立中高一貫教育校のパイオニアとして、確かな学力をもって世界で活躍するリーダーを育成することを目指しています。まずはしっかりと学習習慣を身に付け、学校生活を実りあるものとしてほしいと思います。と同時に、豊かな心も育てて欲しいと願っています。

今日は、詩人の吉野弘が自分の子供にあてた詩の一部を紹介しましょう。

お父さんが
お前にあげたいものは
健康と
自分を愛する心だ。

ひとが
ひとでなくなるのは
自分を愛することをやめるときだ。
自分を愛することをやめるとき
ひとは
他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう。

自分があるとき
他人があり
世界がある

お父さんにも
お母さんにも
酸っぱい苦労がふえた

苦労は
今は
お前にあげられない。

お前にあげたいものは。
香りのよい健康と
かちとるにむづかしく
はぐくむにむづかしい
自分を愛する心だ。

この言葉は私たち大人の共通の願いだと思います。自分を愛する心があってこそ他者を愛し尊重することができるはずです。これは家族や友人など周囲の人々との関係性においてだけでなく、人種や国籍や宗教の違いを越えてグローバル化の時代を生きる皆さんが、異なる文化や異なる価値観を尊重し世界の人々と共に生きることにも通じているはずです。白鴎高等学校・附属中学校は、開校以来、そのような観点から日本の伝統・文化理解教育、国際理解教育を重視してきましたし、そのためのツールとしての英語教育の充実にも今後より一層力を入れていきますので、どうか皆さんは本校の教育活動を通じて、自分と自分以外の人々とを共に愛することのできる心をはぐくんでいってほしいと思います。

さて、保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。今日まで、深い愛情をもって慈しんでこられたお子様を大切にお預かりいたします。併設型中高一貫教育校である本校に対して、大きなご期待をいただくと同時にご心配やまたご不安をお持ちの方もいらっしゃることと拝察いたします。何かございましたら、どうぞ遠慮なく身近な教員にご相談ください。私たちはどのようなご相談やご意見にも真摯に耳を傾け、また課題を解決していく心構えでおります。

一方、お子様方自身も、それぞれ中学生や高校生になることで、自分が一段階段を上り成長したということを自覚していることと思います。保護者の皆様には、少しずつ手を離しつつ、なお目は離さず、の適度な距離を保って、見守っていただければありがたく存じます。特に規則的な生活を送り家庭学習の時間をきちんと持つという基本的生活習慣においては、ご家庭でのご指導に負うところが大変大きくなりますので、どうぞよろしくお願いいたします。私どもは、保護者の皆様と手をたずさえながら、お子様の豊かな成長に寄り添い、大切な時を共有していきたいと考えています。

保護者の皆様、またご来賓の皆様には、今後とも本校の教育に、一層のご理解とご支援を賜りますよう改めてお願いを申し上げます。

本校に対する皆様方のご期待に応える教育を教職員一同推進して参りますことをここにお誓い申し上げて式辞といたします。

平成28年4月7日
東京都立白鴎高等学校・東京都立白鴎高等学校附属中学校長
善本久子

平成28年度 入学式

2016(H28)年度の入学式を実施しました。高等学校235名、附属中学校160名の新入生を迎えました。
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在校生は、高等学校吹奏楽部が入場曲・序曲・退場曲の演奏で、5年生有志84名が校歌紹介で新入生を歓迎しました。

新入生のみなさん、保護者のみなさま、ご入学おめでとうございます。