令和2年度 高等学校新入生歓迎式 校長式辞

 はじめに、十三期生の皆さん、東京都立白鷗高等学校への入学おめでとうございます。本来であれば、四月七日に入学式において、皆さんの入学許可を行うべきところでしたが、新型コロナウィルス感染症予防に伴う緊急事態宣言の発令により、入学式を実施できず、入学許可を書面でお伝えしました。今日は、入学式に代えて、新入生の皆さんの本校への入学を、学校を挙げて心より歓迎し、節目の行事として改めて入学を皆さんに実感していただくために、新入生歓迎式を挙行することとしました。

 三密を避けるために、こうして座席の間隔を空け、保護者の皆さんにもお越しいただくことなく行われますが、初めて皆さんが一堂に会することができました。本当に一人一人の顔を見て安心するとともに、学校としての責任をしっかり果たしていかなければならないという思いでいます。

 まず、高等学校から新たに白鷗の一員となった皆さん、白鷗へようこそ。多くの学校の中から白鷗を選んでくださり嬉しく思います。中高一貫教育校の中でも併設型である本校では、高等学校から新たに入学する生徒の皆さんが、清新で活気あふれる新しい風を学校に吹き込んでくれることが大変意味あることです。この学校は、新しい仲間が増えることを喜び、温かく迎えるという校風をずっと築いてきました。どうか一日も早く学校や友達に親しみ、高入生も中入生も共に「辞書は友達、予習は命」という言葉が示す白鷗のひたむきな学びを一人一人が体現してほしいと思います。

 2か月近い臨時休業期間中に、新しい学習の仕方に戸惑った人もいたと思います。それでも皆さんは本当によく努力して学習に取り組んでくれました。本来であれば新しい友達を作ったり、学校の環境に慣れたりするための大切な時間を取ることができず、学校がスタートしてしまいましたが、一方でオンライン学習に皆さんが積極的に取り組む姿は大変頼もしく、心強く感じました。皆さんは日本中のどの高校の新1年生よりもきちんと勉学に励み、この時間を有効に過ごしてきたと私は確信しています。

 白鷗の教育理念は「開拓精神」だと言われます。開拓とは道のないところに道を開く、誰もが未経験のことに新しく取り組む、という意味です。さて、全世界でOECD加盟国を中心に、ちょうど皆さんと同じ15歳の子供を対象に3年に一度行われる、PISAの学習到達度調査というものがあるのを知っているでしょうか? 一昨年行われたこの調査結果によると、日本の15歳の学力は世界の中でも非常に高い位置にあり優秀ですが、一方で、ICT機器を学校内外で学習に活用する時間が、OECD加盟各国、先進国と言われる国々の中でほぼ最下位レベルで少ないということです。このままいくと、日本の15歳はスマホでSNSやゲームはしても、学習のためにICTを使うということが少ないまま大人になってしまうということなのです。

 新型コロナウィルス感染症の問題は、全世界を巻き込み、大きな痛みや苦しみを私たちに与えています。しかし、このことをきっかけに、自分たちの生活に本当に必要なものは何か、これから何を身に付けていくべきか、ということが見えてきたのではないでしょうか。白鷗がオンライン学習にどこよりも熱心に取り組んでいるのは、単にコロナウィルスの問題で学校での授業ができないからではありません。この困難な機会に、学校の学びを見つめなおし、生徒の皆さんに必要な新しい能力をしっかりと身に付けてほしいと願っているからです。新しい学びの形を開拓し、集団で行うべき学びとは何かを、先生方の総力を挙げて今模索しています。皆さんはどうか先生方を信じてついてきてほしいと思います。 学校生活で大切なのは勉強だけではありません。正しいことを行うという信念をもって、自分と異なる他者には優しく、そして少しだけ自分に厳しく、心豊かに生きることのできる人として成長してほしいと願っています。

 今後、学校は感染防止の対策を取りながら、少しずつ開いていきます。部活動等を再開できるまでには時間も必要です。どうかそのことを理解しながら、学校生活をスタートさせてください。これからは、新型コロナウィルス感染の危険とともに生きる新しい生活であり、さまざまな注意や配慮が必要です。やがてずっと先の未来に、皆さんが今を懐かしみ、困難に打ち勝った貴重な記憶として、振り返ることができることを私は願っています。

 今日、保護者の皆様には直接ご挨拶ができません。本校入学までの道のりは保護者の皆様の支えがあればこそ、と思います。どうか私からの言葉として、保護者の皆様にご理解とご協力をお願いしますと皆さんから伝えてください。

 本校にはたくさんの応援団があります。PTA組織である双鷗会、同窓会である鷗友会、PTAのOBOG組織である後援会、町内会をはじめとする地域の皆様、多くの人に見守られながら、これからも白鷗は皆さんと共に着実に前進していくことを誓い、私の式辞といたします。

令和2年5月29日
東京都立白鷗高等学校長 善本久子