平成29年度 附属中学校卒業証書授与式 校長式辞

本日は、東京都立白鷗高等学校附属中学校第十一回卒業証書授与式にあたり、多数のご来賓の皆様、保護者の皆様のご臨席をたまわりましたことを、始めに高いところからではございますが、厚く御礼申し上げます。

十一期生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんが心も体も一段と成長して、胸を張ってここにいる姿を見る時、私も大変誇らしい気持ちになります。皆さんは、本校での3年間、高校に長く伝わる「辞書は友達、予習は命」の合言葉のもと、熱心に学習に取り組み、確かな学力を身に付け、豊かな心をはぐくみ、多くの友達を得たことと思います。体育祭、白鷗祭、合唱コンクールの三大行事、部活動、一年の時のプレゼン合宿や二年の農村体験、三年の奈良・京都への修学旅行等、忘れることのできない思い出として皆さんの心に刻まれていることでしょう。今日は足の病気のためお休みされている蓑田先生も車椅子で駆けつけてくれています。

私が皆さんとの思い出で最初に覚えているのは、2年前の4月の健康診断でのことです。体操着に着替えて廊下に並び学校医の先生の診察を待つ間、そこにいた皆さんは誰もが教科書や単語帳を見たり、本を読んだりしていました。これまで学校でそのような姿を目にしたことがなかった私は、大変感銘を受け、学校説明会などで、たびたびその話をしました。皆さんのそのような姿は、ひたむきに学ぶ白鷗の良き伝統そのものです。その真面目さや熱意は、きっとこれからの皆さんを助けてくれるはずです。

中高一貫教育校の中学3年生というのは過ごし方がなかなか難しい面があります。特に本校の皆さんは、東校舎から西校舎に移り、一足早く高校生の仲間入りの気分を味わいつつ、本来ならば最上級生として大いに自我を拡張できるところを、末っ子として何かと心細く窮屈なこともあったのではないかと思います。一般的には中だるみなどと言われる中で、皆さんは少しもそのような心配を感じさせない生き生きとした姿を見せてくれました。高校受験という通過儀礼の機会のない皆さんに、学習のモチベーションを高くもってほしいと、英語検定で目標を設定しましたが、昨年の十期生を上回る九十一%の人が英検準2級以上に合格という快挙を成し遂げてくれました。この結果がどんなに素晴らしいかということは、全国の平均では、中学校ではなく高等学校3年を終えるまでに準2級程度以上の英語力を獲得した人がわずかに36%であることを見れば一目瞭然です。合格した皆さんは誇りに思い、再度挑戦する皆さんは是非とも頑張ってほしいと思います。

グローバル化の進展する時代を生きる皆さんは、そのコミュニケーションのツール、道具としての英語の力を伸ばすことももちろん大切ですが、本当に重要なものは実は英語力ではないと私は思っています。

これまでさまざまな機会に、ダイバーシティ、多様性を尊重せよ、そして競争と協働の両方ができる人になってほしいと言ってきました。このことは「言うは易く行うは難し」です。自分や自分の属する集団に対する愛着をもつことはそれほど難しいことではありません。しかし自分と異なる人々を認め尊重するということは、大変な努力を要することであるのは、世界で日々起きている出来事を見れば明らかだと思います。正義よりも力に、優しさより要領の良さに価値が置かれているように思えることが多い世の中ですが、私は皆さんには正義と優しさを貫くことのできる強さとしなやかさを持ち続けてほしいと願っています。

中学校を卒業するということは、義務教育の修了という意味も持っています。小学校からの九年間の義務教育を終えるということは、皆さんにとって大変大きな人生の節目の時ということができます。義務教育は、日本の法律においては大人が子供に教育を受けさせる義務であるということは以前お話ししました。世界の中には教育を受けることが子供の義務であると法律に明記してある国もあります。義務教育を終えるにあたっては、皆さんをここまで育て教育の環境を与えてくださった保護者の方々に感謝すると同時に、これからの学びに思いをはせてほしいと思います。

今までは、学ぶべきことや学び方は大人が示してくれました。これからは自分で学びたいことを発見し、自らが主体的に学びを獲得していく姿勢が大切になります。学びは本来皆さんの知的好奇心を刺激し、楽しさや喜びを与えてくれるはずのものです。義務教育を終え、白鷗高校への進学を前にして、もう一度学ぶことの楽しさや意義を感じて、来るべき高校での進化した学びにワクワク・ドキドキ、期待感をもち、より一層の学習のモチベーションの向上につなげてほしいと私は心から願っています。

さて、保護者の皆様、本日はお子様のご卒業誠におめでとうございます。これまで深い愛情でお子様の成長を見守ってこられた皆様にとりまして、九年間の義務教育の修了は、本当に節目の時でもあり、大きな安堵と喜びの日であろうと拝察いたします。これまで本校の教育方針にご理解とご協力をたまわり、本当にありがとうございました。保護者の会である「双鷗会」の皆様には、中高一貫教育校としての学校づくりを支えていただき、感謝の念に堪えません。引き続き、白鷗高校におきましてもご支援をよろしくお願いいたします。また、ご来賓の皆様をはじめ、近隣の皆様には、本校の成長を温かく見守っていただき、多くのご声援をたまわりました。あらためて深く御礼を申し上げます。

本校を卒業し、自分の望む進路を切り拓くために白鷗を離れ新天地へと羽ばたく皆さんもいます。生徒としてはお別れですが、白鷗はいつまでも皆さんの母校です。新しい学校での活躍を心から期待しています。どうか頑張ってください。

Education is the most powerful weapon which you can use to change the world.「教育とは世界を変えるために用いることができる最も強力な武器である。」南アフリカで初の民主的な選挙により大統領となったネルソン・マンデラ氏の言葉です。私たちはそのような教育の力を信じて、これまでもそしてこれからも皆さんと共に歩んでいきます。

卒業生の皆さんの輝ける未来を期待し、また本日ご列席の皆様の益々のご健勝とご発展を祈念し、私の式辞といたします。

 

平成三十年三月二十日

東京都立白鷗高等学校附属中学校長 善本 久子